@article{oai:naragakuen.repo.nii.ac.jp:00001213, author = {大淵, 裕美 and Ohbuchi, Yumi}, journal = {奈良学園大学紀要, Bulletin of Naragakuen University}, month = {Sep}, note = {本稿では、公的メディアのひとつである母子健康手帳に着目し、国家による食と栄養を通じた妊婦と胎児の健康管理が時代とともにどのように変化してきたのかを検討した。栄養に関する記述内容及び形式と呼称の変化に着目して検討した結果、以下のことが明らかとなった。まず、栄養に関する記述は、1960年代前半までは、「妊産婦の心得」の1項目として位置づけられていたが、1965年から1980年代かけては、栄養学の知識普及と妊婦の異常防止に力点が置かれた。1990年代になると、妊婦の体重超過に着目した注意事項が記載されるとともに、胎児の異常を未然に防ぐことが啓発され始める。そして、2000年代後半において、適切な体重増加量の数値や、食事の摂取方法に関する具体的な目安が示されるだけでなく、食中毒のようにあらゆる食べ物が妊婦と胎児に対してリスクとなることを、専門用語を駆使して説かれるようになった。一方、呼称の変化については、1990年代以降に「母体」や「お母さん」といった表現が使用され、妊娠中の女性こそ栄養に関する責任主体であるとするメッセージが一層強化された。  以上を踏まえると、母子健康手帳における栄養の変遷は、妊婦にとって3つの意味があると推察される。第一に、記述量と留意事項の増加は、国家が示す栄養を通じた望ましい妊婦像が、時代とともに高度化していることを示している。第二に、記述内容の科学化は、読み手に高度な知識を要求するため、妊婦間における理解の格差を引き起こす可能性がある。第三に、呼称の女性化は、妊娠期の栄養に関しては女性こそが責任主体であると国家がみなしていることを意味する。このことは、栄養と女性の結びつきを強化するジェンダー化作用のみならず、妊婦や胎児の健康状態に影響する諸要因の複雑性や社会的責任を隠蔽し、妊婦の自己責任へと矮小化する作用もあるだろう。}, pages = {13--25}, title = {食を通じた妊婦と胎児の健康管理に関する歴史的変容-母子健康手帳Jにおける栄養の記述を中心に-}, volume = {5}, year = {2016}, yomi = {オオブチ, ユミ} }